性欲ドーピング
薄暗い室内。
ベッドの上で、いつもの様に。
いつもと同じで相手の身体を受け入れる。
いつもと違う様に見詰めたら。
困った風に微笑まれた。
「どうかしましたか?」
「いや、なんつーか。俺、今お前に抱かれてんだなぁ、って」
はたと止まったU房とは裏腹に、自分の腹の中で確かに増した質量。
俺の言葉に対しての明らかな反応。
下のお口は素直だな、なんて。
リアルで言われたらドン引きしそうなセリフを思い出す。
その言葉は案外言った相手にも使えるんじゃないかと思う。
貴方の息子さんも素直ね、とか。
うはっ、寒すぎて逆に笑える。
「ちょいU房、いつまでフリーズして…って、──っ!」
止まっていた腰を一気に打ち付けられて、引きつったような声を出す。
反射でシーツを握り締めた両手を顔の横で拘束されて、驚きで見開いた目を相手に向ける。
「いきなりなん、ぃ…っ、ぁ、ァっ!」
「あまり私を、煽らないでくれませんか」
言葉は余計だとでも言うように、息を吸わせる間もなく激しく打ち付けられる内壁。
いきなりの容赦ない刺激に収縮する直腸が更なる刺激を与えて、耐えきれずに開いた口から一段と高い愛嬌が上がる。
「そうですよ、伊八。今貴方を抱いているのは私です。だからもっと、感じて下さい」
ベッドが軋む音の合間に、熱い息が耳に掛かる。
手なんか拘束しなくても逃げやしないのに。
その欲望が音に混じって、全ての感覚で相手に抱かれる。
──ヤらしい奴。
時々零れる俺の名前にどうしようもなく欲情する。
感じることで更なる快感が欲しくなるのを、組み敷いたコイツは知っているのだろうか。
──…ヤらしい俺。
激しい行動とは裏腹な優しいキスに。
俺で感じるU房を見て、満足そうに口を緩めた。
†end
深夜隊BL